2021/04/15

「憲法、人権が護られてはじめてデジタル化はゆるされる」は大事なポイント!!

CNNニューズ105号に対して読者からの声が届きました。紹介します(編集局)。

最近、CNNニューズは、対論とイラストが多くなりましたね。デジタル問題では、CNNニューズの内容、文章はどうしても難しく感じてしまいます。対論形式、それにイラストはとてもわかりやすく、和(なごみ)ます。105号4頁のイラストで、なるほどと思ったのがありました。

「デジタル監視でプライバシーがスッポンポンにされても、悪いことしてないと、怖がることはない!」に対して、「隠すことがあるから人間なんだよ!人間である証は、人権があることだよ!」です。私にはとても大事な論点で、想像力、哲学が問われる部分だと思いました。

それから、CNNニューズ105号、33頁下の、ジェイリスによる“顔認証情報狩りのワナ”も、大事なポイントだと思いました。ジェイリスは、まったく説明責任を果たさないで、莫大な血税を浪費して全国8,000万人もの市民に、マイナンバーカード申請書を郵送しているわけです。コロナ禍で財政支出が急増するさなかでの無駄遣いです。しかも、スマホでカード申請ができるとPRし、“プライバシーに無関心な庶民”から生体認証情報を裏口採取・保存しようとしているわけです。

先日、この点で、親しい友人と論争になりました。その友人は「スマホでさまざまなことができるようになれば本当に便利で、ジェイリスから来たマイナンバーカードの申し込みもQRコードが付いていたのですぐに応じた。」というのです。

その友人に、「マイナンバーカードを普及させるために、申請者の個別の同意を得るための告知をすることもなく(オプトイン方式によらないで)、顔認証情報を出させているのをおかしいと思わないか?」問いました。「別に自分の顔認証情報を国に管理されても、悪いことをしていないので全然かまわないよ。」という回答でした。とても聡明な友人なので、この問題の根深さを考えさせられました。

こうした市民の考え方が、ジェイリス、その背後にいる国の役人の“寝た子を起こさない”の策略をゆるし、プライバシーゼロ社会へまっしぐらの状況をつくっているのだと思います。これは、医療機関を総動員したオンライン顔認証式マイナバーカード使用保険資格確認システム、いわゆる“Mシステム”でも、同じだと思います。

EUなど先進諸国では、そもそも、顔や指紋など生涯不変の生体認証情報収集・利用については、本人の個別の同意のない提供の強制や公的使用を禁止しています(CNNニューズ99号参照)。しかし、わが国では、こうした認識が国民の間で共有されていません。国の役人は、EUなどの法制をよく知っていると思います。しかし、オプトアウト(嫌ならスマホを使った顔認証方式を使わなきゃいい、あるいは嫌なら個別に申し出て収集に協力しなければいい)で通し、オプトイン方式があることを知らせて、わざわざ“寝た子を起こすことはない”の態度なわけです。それに、大半の議員や庶民はデジタルに疎い・弱い、何も言ってこないはずだ、と読んでいるのだと思います。

さらに難しく感じたことがあります。それは、このマイナンバーカードのスマホ申請のやり取りを聞いていた他の友人が私と二人になった時、「僕はあなたと同じ考えです。国をそんなに信じていないのです。」と言うのです。“護らないといけないプライバシーとは何なのか”、あるいは“プライバシーは人権なんだ”という観点から、こうした問題を深読みできない、あるいは、こうした論争に真っ向から挑める人が少ないのですね。“世はデジタル時代”とかいうものの、デジタル時代に見合った市民への人権教育の貧困さ、をつくづく感じました。

朝日新聞4月13日朝刊に、最近の世論調査が掲載されました。ここでは、デジタル庁の創設に期待するかの質問では、期待する44%。期待しない45%、と拮抗しています。それでも、「あなたの税金や健康保険など個人情報が、マイナンバーと一緒に、まとめて国に管理されることに、どの程度、抵抗感がありますか。」の問いには、「大いにある19%、ある程度ある40%、あまりない28%、全くない12%」の回答でした。積極的・消極的を含め抵抗感がある59%は、まだ流れを止められるかもしれない、というほのかな期待を抱かせる数字になっている、と思いました。

デジタル化は一歩誤ると、中国のようなデジタル監視国家、デストピア(暗黒郷)にまっしぐらということになると思います。今回のデジタル改革関連法を、中身をほとんど吟味することなく数日で衆院を通過させてしまう最大野党の存在感のなさには、すっかり絶望させられました。このままでは、わが国は中国以上にデジタル収容所列島に大変身すると思います。

「人権」という西側諸国の価値観をしっかりと共有できない菅首相が率いる政権は、中国、ミャンマーなどの人権状況に対してまったく発言をしないわけです。人権ファーストのアメリカ・バイデン政権と共同歩調をとる資格があるのかどうか、大きな疑問符がついています。菅政権のスタンスをチェンジするには、まず、コロナ禍のどさくさに紛れて有無を言わさずに進める人権レスのデジタル化政策自体を直ちに止めないといけない、と思います。

こうした人権レスのデジタル化の波に果敢に挑むためにも、 PIJのキャッチ、「憲法、人権が護られてはじめてデジタル化はゆるされる」は、とても大事なポイントだと思います。                                    (一読者より)