2021/09

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2021/09/21

ワクチン接種証明のスマホ発行の悪だくみ

◆人権を護れてはじめてワクチン接種証明の活用はゆるされる

ワクチン接種証明、スマホで即発行で、  マイナンバーカード活用の悪だくみ

〜ワクチン接種証明のスマホ発行は電子監視収容所列島化構想

わが国では、現在、新型コロナウイルスワクチン(ワクチン)の接種を済ませた人に、接種後に「予防接種済証(臨時)」(ワクチン接種済証)を渡している。諸外国のように行動制限の緩和やサービスを認めるための「接種証明書」はない。コロナパンデミックで、わが国は現在、鎖国常態にあるといってよい。私たち市民は、入国時に接種証明書が必要な国に行くとする。この場合には、渡航目的に限って当局から紙の接種証明書の発行を受けることができる。だが、この接種証明書は、国内向けの利用を想定したものではない。

政府は、国内向けの公式の接種証明書を発行する方向だ。原則としてスマートフォン(スマホ)を利用する方向だ。そして、9月17日に、ワクチンの接種情報をオンラインで証明するモデル(スマホ式モデル)を明らかにした。 このスマホ式モデルでは、利用者はスマホのアプリを通じて接種証明書の発行を申請する。マイナンバーカード(マイナカード)を読み取り、4桁の暗証番号を入力し、自治体の窓口に出向く必要がなく、すぐに利用できるようにするという。

◆また出てきた役人の悪だくみ

政府は、スマホ式ワクチン接種証明では、マイナンバーと紐づけオンラインで本人を証明する機能を持たせる。このために、マイナカードを使い、国のワクチン接種記録システム(VRS)につなげて情報を共有するという。

だが、ちょっと待ったである。マイナカードを取得する、取得しないは任意のはずだ。この政府のスマホ式モデルだと、スマホを持っていても、マイナカードのない人はアプリ上で申請し、接種証明書を取得できなくなる。こんな卑劣な手段を使ってマイナカードの取得を強要するのはルール違反だ。

それに、国のワクチン接種記録システム(VRS)につなげるのも、個人の医療情報の背番号管理、接種の強制や接種を望まない人への差別を生むことが危惧される。憲法が保障する国民のプライバシー権をむしばむのではないか。 スマホ式ワクチン接種証明は、憲法で保障された「移動の自由」の制限につながる、いわば、「電子国内パスポート(e-inner passport)」を発行するようなものだ。

もっと、簡潔で、憲法に適合する仕組みにしないと、スマホ式ワクチン接種証明は普及しまい.

仮にスマホ式ワクチン接種証明システムを導入するとしても、存続期間を定めないといけない。また、スタンドアローンにしないといけない。警察や公安当局のデータベースに常時紐づけしてはいけない。でないと、実質、「電子国内パスポート」、「電子通行手形」になってしまう。居酒屋やレストランなどあらゆる場所に電子関所(監視ポイント)を設けるに等しく、私たち市民は常時政府の電子監視化に置かれることになる。これでは、市民の人権は護れない。

スマホ式ワクチン接種証明システムにより、この国を電子監視収容所列島化、デジタル国家総動員体制下に置くことを認めてはならない。でないと、私たち市民は、中国型のデジタル国家主義、デジタルファシズムのもとでの生活することを強いられることになりかねないからである。

◆信頼のない政府では、紙の予防接種済証が安心・安全

政府は、スマホを使わない人やマイナカードを持っていない人への対応を別途検討中である。紙の「ワクチン接種済証」などを使うことになるようだ。電子監視による人権侵害を危惧する人は、スマホを持っていても、紙の接種済み証を選ぶべきだ。でないと、スマホのGPS位置確認やマイナンバー(背番号)を介在させたスマホ式ワクチン接種証明システムで徹底した電子監視・追跡されることになる。紙のワクチン接種済証の方が安心・安全である。 

スマホ式にしろ、紙媒体にしろ、ワクチン接種証明システムは、憲法が保障する市民の「移動の自由」と深くかかわってくる。コロナ感染防止を理由に、何の罪も犯していない市民の足跡を記録するのをゆるしてはならない。とりわけ、背番号(マイナンバー)で人の移動データを収集し、追跡・監視することは禁止しないといけない。憲法違反である。 それに、国際的に通用するワクチン接種証明の仕組みにしないといけない。でないと、インバウンドで来日する外国人は、このシステムに乗れなくなる。国民背番号であるマイナポータルと紐づけしてはいけない。

 政府は、10から11月に、飲食店の営業時間の延長や、会食やイベントの参加人数の拡大を検討している。イギリスなどをまねて、緊急事態宣言を解除した地域の一部などで、接種を受けた人に限定して会場への入場を認めるような実証実験も考えているようだ。  ただ、その時点ではワクチン接種証明の仕組みは完成できていない。そこで、確認に紙のワクチン接種済証やPCR検査などの「陰性証明」の提示を求める方向である。

◆人権を護れてはじめてワクチン接種証明の活用はゆるされる

 マイナカードの取得を強要するスマホ式ワクチン接種証明システムは、解せない。スマホに直接電子証明(公開鍵)機能を入れればいいものを、マイナICカード取得を強要する。血税の無駄使いだろうに。スマホ式ワクチン接種証明システムは、役人の悪巧みの臭いがプンプンする。まったく正直さが感じられない。マイナカードを取得しない人を「非国民扱い」する役人の横暴は留まるところを知らない。

こんな悪だくみをすると、ワクチン接種証明のスマホ発行は進まないだろう。頓挫するのは目に見えている。ここでも、「出口戦略」のないインパールの繰り返しである。

残念ながら、ここでも、人権を大事にしようという声が、野党から聞こえてこない。マイナンバーパンデミックはますます拡散する一方である。

アベノミクスの検証などはいいから、人権問題にしっかり発信し、新味を出さないと、総選挙では勝てない!!