2025/01

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2025/01/18

賞味期限のある流行りの「SNS推し活政治」と「文書保存」の重み

1月20日、劇場型政治大好きの「またトラ」時代が始まる。SNS(ソーシャルネットワーク)、ネットを使った過激な言動とフェイク(ニセ)情報を拡散する“今総統”の再登場である。

だが、幕開け前から、この疲れを知らないモンスターの再登場に疲れを感じる人も少なくないはずだ。

歴史は繰り返す。民衆は移り気である。SNSで世論を喚起するポピュリズム、「推し活政治(political fandom)」に押し流される。かつても、民主主義よりファシズムを歓迎した時代があった。

理性で制御しにくい政治環境にあるのは確かだ。しかし、いずれ潮目が変わるのではないか。

ネットやSNSにアップされた記事だけを読む人が増えている。確かにネットやSNSは便利だ。早い、安いで、ファストフードに似たところがある。ただ、ジャンクフードに食らいついているのと同じで、体や精神に良くない、という見方もある

ネットやSNSの記事は、サービスが終わると永遠に消え失せてしまう。SNSを使った「推し活政治」も、ある意味では、同じ運命にある。賞味期限があり、即物的だからだ。

PIJは、「ネット」と「文書」の両面で、プライバシー保護に関する政策提言を続けている。文書で残すのにはカネがかかる。だが、文書にすると、永続的に残すことも可能だ。

しばしば新たな古文書が発掘される。幕末維新から大日本帝国憲法発布までは20年あまり。その間に、民権運動家などがさまざまな民衆憲法草案を仕上げた。当時、民衆憲法つくりがブームだったといえる。そうした草案の1つが、偶然、民家から発見されたりしている。これは、ひとえに、文書万能時代のプラスの遺産といえる。

CNNニューズは、文書でも発行している。国会図書館にも貯蔵をお願いしている(国立国会図書館書誌ID000008916139)。

市民主導のプライバシー保護活動の軌跡を残すには、「文書で残すこと」の重みを忘れてはならない。

2025/01/16

トランプ時期大統領が新設する「対外歳入庁(ERS)」とは

トランプ氏は、大統領選で、中国製品に60%以上の関税を課す。それ以外の地域には、10%〜20%の関税を課すと主張してきた。

 トランプ氏は、大統領就任を前にして、1月14日、SNSで次のような発信をした。

「アメリカは、あまりにも長い間、自分らが払った税金で、経済を支え、世界の繁栄に貢献してきた。しかし、いまやチェンジが必要である。我々アメリカ人が税金を払うのではなく、我々と取引をしている人たちに公正な負担、税金(関税)を支払ってもらう時がきた。」

≪トランプ提案を読み解く》

・新たに「対外歳入庁(ERS=External Revenue Service)」を創設し、ERSが、関税や個別消費税に加え、外国源泉の所得を徴収する。

・現在、連邦は、内国歳入庁(IRS=Internal Revenue Service)が徴収している。しかし、あまりにも長い間、IRSに税の徴収を依存してきた。

・現在、関税は、合衆国関税・国境警備局(CBP=U.S. Customs and Border Protection agency)が徴収している。

《「新たに創設される対外歳入庁(ERS=External Revenue Service)が、関税や個別消費税に加え、外国源泉の所   得を徴収する。」とは、どういうことか?》

トランプ氏は、新ERS/対外歳入庁は、現在のCBPや非居住者(外国法人や個人非居住者)から所得税を徴収しているIRSの権限を代替するのかどうかについてはふれなかった。新たな機関の創設は、「超小さな政府」を目指すイーロン・マスク氏の非公式な「政府効率化省(DOGE=Department of Government Efficiency)」構想とぶつかるからかもしれない。調整ができていないのかもしれない。

いずれにしろ、大統領令では、新たなERS/対外歳入庁の創設は不可能である。議会のよる立法が必要である。

 連邦議会上院歳入委員会に所属するロン・ワイデン(Ron Wyden)議員[民主党所属]は、トランプ案を厳しく批判した。

 「トランプ案は、もう一回富裕層に税の施しをする一方で、アメリカの生活者や零細企業に莫大なインフレ負担として跳ね返ってくるという事実を隠す、まったくバカげた偽装プランにほかならない。」

輸入業者は、関税の上乗せ分を国内価格に転嫁するのは当り前。当然、国民の負担は大きくなる。素人にもわかることではないか。ツケを払わされるのは、結局、生活者である。

他の識者も軒並みにトランプの高関税政策を批判する。「国内の雇用を守るよりは、生活者が購入する必需品の価格を押し上げる。中小企業者が生業をするのに購入する原材料の購入価格を押し上げる。経済が回らなくなる近視眼的な政策である。」と。

2025/01/09

トランプ復活、またトラ、で世界に広がるニヒリズム/虚無主義

2025年が幕を開けた。SNS利用拡大が、世界中で物議をかもしている。選挙に負けた腹いせにSNSで議会乱入を煽ったことはゆるされてはならない。再選で、“またトラ”が正義の味方となる?そして、すべてがチャラになる?これでは、「法の支配」に根差した民主主義は崩壊してしまう。

「ポスト真実政治(post-truth politics)」、つまり、客観的真実より、個人の主張や感情が世論を形成、政治を支配する風潮が強まっているということだろう。

いち早く「破壊こそ建設なり」の言動やフェイクを拡散し他国や他者をいたぶる“またトラ”に抱きつくこと。これが「正義(justice)」のような風潮がグローバルに広がる。

「抱きつき願望者」は、わが国の首相だけではない。アメリカの“カオス大好き”のイーロン・マスク氏もその1人だ。札束で世界最大規模のSNSであるX(旧ツイッター)を手に入れた。そして、国境のないネットを使って世界政治をあおる。“またトラ”とタッグを組み、「資本の論理ファースト」のキャッチでネット行脚し、デジタル独裁者の顔を露にしてきている。帝国主義的野望を露にしたあおり言動は、ロシアのプーチン氏と重なる。

SNSの大手Meta(メタ)のトップ、マーク・ザッカーバーグCEOも、抱きつき組の1人だ。再選後、白旗を掲げ“またトラ”に急接近。そして、Meta(メタ)が運営するFacebook(フェイスブック)やInstagram(インスタグラム)などSNSの虚偽情報の判別をする「ファクトチェック」をアメリカでは止めた。代わりに、ユーザー同士が誤解を招く投稿などを補足し合う「コミュニティーノート」方式導入に舵を切った。表向きは「言論の自由」重視の原点に回帰するため、というのだが?

EU(欧州連合)は、Meta(メタ)に警告した。「ファクトチェック廃止はEUの2022年デジタルサービス法(Digital Services Act/Regulation 2022)にぶつかる。」と。対米追従は当り前のわが国はどうだろうか。EUのように、Meta(メタ)に物言いができるだろうか?

ポピュリズム(大衆迎合主義)が世界中に拡散し、これまでの価値観が通用しない。ネット空間では当り前のようにフェイク(ニセ情報)が徘徊する。これでは、世界中がニヒリズム/虚無主義の“蟻地獄”に落ちるのではないか。

「アメリカ独り勝ちは放置できない!」「倫理、コモンセンス、民主主義的な価値観が通用しない人間に対する無原則な寛容は、無秩序につながる!」、「民主的な言論の自由を守るには不寛容、公的規制強化、劇薬もやむなし!」の声が高まる。