2021/04/17

国民投票法改正を急ぐな!まず「SNS規制と言論の自由」問題の決着を急げ!

読者から、「国民投票法改正と言論の自由」について「声」が届きましたので、アップします(編集局)。

CNNニューズ105号の「ネット規制と言論の自由を考える」を読みました。レベルが高く、すごく興味深い対論でした。とくに、32頁で、ソーシャルメディアと国民投票法の関係を論じており、現在の国民投票法改正法案審議で抜けている点だと思いました。

今国会の衆院憲法審査会における国民投票法改正案の審議が開始されました。ここでは、リアルのメディアでの広告規制の問題だけを取り上げています。ソーシャルメディア(SNS)を使ったフェイク・ツイートと言論に自由のあり方などについては、ほとんど検討されていません。しかし、必要不可欠なポイントなはずです。

にもかかわらず、マスメディアによっては、日経新聞(21.04.16朝刊)のように、「国民投票法改正を決着させよ(社説)」とかけしかけるわけです。いわく、「立民などが採決に応じない理由のひとつに『テレビCMへの規制なしに国民投票が実施されると、世論がゆがめられかねない』との懸念がある。海外ではフェイクニュースが選挙結果に影響したとみられる事例もある。全く的外れな指摘でもないだろう。他方、公権力がCMの内容や頻度を束縛するのは、表現の自由の侵害につながるおそれがあり、法規制にはなじみにくい。いちばんよいのは、与野党が「集中豪雨的なCM放送はしない」との紳士協定を結ぶことだ」と。

すごく荒っぽい社説で、びっくりしました。普段、日経新聞はSNSの問題とかを丹念に報じています。SNSは言論活動の主役に躍り出ており、いまやその存在は無視できない時代です。にもかかわらず、リアルのCM放送云々でおしまいです。意図的に「海外では」と枠をはめ、コンセンサスに時間がかかる難しい“国民投票に絡むSNS問題”を避けているわけです。これでは、コロナ・ショックドクトリン手法です。憲法改正ウイングと歩調を合わせているだけです。実質、彼らの応援団、改憲の旗振り役を演じているとしか思えません。この議論打切りを誘導する社説には失望しました。

ネット規制と言論の自由問題は、とくに国民投票においては、避けて通れないきわめて重要なポイントだと思います。アメリカでは、政治言論などを自主規制するSNSプラットフォームの責任を免除する通信品位法(CDA)230条c項の改廃をめぐり、ツイッター社やフェースブック社など主要SNSを巻き込んで、連邦議会や言論界で熱心な議論が展開されています。CNNニューズ16号で詳しく紹介されているところです。

「言論の自由市場」を護るためには、わが国でも、この面での活発な議論は必要不可欠です。でないと、中国版ツイッターとも呼ばれるウエイボ(Weibo)や中国版ラインとも呼ばれるウイーチャット(WeChat)のように、中国の検閲当局の意のままに懐柔されるSNSとして存続するしかなくなるかもしれないからです。

この問題での日本人が大好きな“役人にお任せコース”の選択は危険だと思います。”中立的な言論保障”とかのふれこみで、役所が主役となって、“国民投票の中立”を名目に、実質SNSの官製統制に走るかもしれないからです。SNSプラットフォームに対する政府の管理、デジタル[公安調査]庁による検閲が唯一の解決策とする方向に動く可能性もあるからです。

与野党を問わず、民主主義や人権という価値観を共有できず、“政治的中立”のキャッチが言論圧殺につながるなどと夢にも思わない議員も少なくありません。やると決めた以上は一億一心、既定方針には有無を言わせないで突っ走る国柄です。国民投票法改正を急いではならない、と思います。まず「SNS規制と言論の自由」問題を時間をかけて議論し、決着させる必要があると思います。

わが国は、本当に、自由と人権を尊重する西欧型民主体制をとっているといえるのでしょうか。Yesというのであれば、一連のデジタル監視国家法案は、ゆるされないでしょう。

菅首相は、人権なんか余り感心がないタイプではないかと思います。デジタル監視国家をつくる法案を通して、中国を超える人権ゼロの国をつくろうというタイプの御仁ですから。

渡米して、香港・新疆ウイグル地区の人権状況などに懸念を表明する資格があるかどうかは疑問です。中国の人権状況にふれたとしても、ジョー・バイデンとつきあう手前、ポーズだけ・・・・ではないか、と思います。制裁が必要なのは、中国ではなく「ヨシ」その人なのかもしれません。アメリカの「ジョー」には、「ヨシ」に人権感覚を磨くように、アドバイスしてもらう必要があるのではないか、と思います。

CNNニューズの編集局には、国民投票法を素材に、SNS規制と言論の自由についての対論あるいはコメントの掲載をお願いできれば、と思います。期待しております。

                                     (一読者より)

2021/04/15

「憲法、人権が護られてはじめてデジタル化はゆるされる」は大事なポイント!!

CNNニューズ105号に対して読者からの声が届きました。紹介します(編集局)。

最近、CNNニューズは、対論とイラストが多くなりましたね。デジタル問題では、CNNニューズの内容、文章はどうしても難しく感じてしまいます。対論形式、それにイラストはとてもわかりやすく、和(なごみ)ます。105号4頁のイラストで、なるほどと思ったのがありました。

「デジタル監視でプライバシーがスッポンポンにされても、悪いことしてないと、怖がることはない!」に対して、「隠すことがあるから人間なんだよ!人間である証は、人権があることだよ!」です。私にはとても大事な論点で、想像力、哲学が問われる部分だと思いました。

それから、CNNニューズ105号、33頁下の、ジェイリスによる“顔認証情報狩りのワナ”も、大事なポイントだと思いました。ジェイリスは、まったく説明責任を果たさないで、莫大な血税を浪費して全国8,000万人もの市民に、マイナンバーカード申請書を郵送しているわけです。コロナ禍で財政支出が急増するさなかでの無駄遣いです。しかも、スマホでカード申請ができるとPRし、“プライバシーに無関心な庶民”から生体認証情報を裏口採取・保存しようとしているわけです。

先日、この点で、親しい友人と論争になりました。その友人は「スマホでさまざまなことができるようになれば本当に便利で、ジェイリスから来たマイナンバーカードの申し込みもQRコードが付いていたのですぐに応じた。」というのです。

その友人に、「マイナンバーカードを普及させるために、申請者の個別の同意を得るための告知をすることもなく(オプトイン方式によらないで)、顔認証情報を出させているのをおかしいと思わないか?」問いました。「別に自分の顔認証情報を国に管理されても、悪いことをしていないので全然かまわないよ。」という回答でした。とても聡明な友人なので、この問題の根深さを考えさせられました。

こうした市民の考え方が、ジェイリス、その背後にいる国の役人の“寝た子を起こさない”の策略をゆるし、プライバシーゼロ社会へまっしぐらの状況をつくっているのだと思います。これは、医療機関を総動員したオンライン顔認証式マイナバーカード使用保険資格確認システム、いわゆる“Mシステム”でも、同じだと思います。

EUなど先進諸国では、そもそも、顔や指紋など生涯不変の生体認証情報収集・利用については、本人の個別の同意のない提供の強制や公的使用を禁止しています(CNNニューズ99号参照)。しかし、わが国では、こうした認識が国民の間で共有されていません。国の役人は、EUなどの法制をよく知っていると思います。しかし、オプトアウト(嫌ならスマホを使った顔認証方式を使わなきゃいい、あるいは嫌なら個別に申し出て収集に協力しなければいい)で通し、オプトイン方式があることを知らせて、わざわざ“寝た子を起こすことはない”の態度なわけです。それに、大半の議員や庶民はデジタルに疎い・弱い、何も言ってこないはずだ、と読んでいるのだと思います。

さらに難しく感じたことがあります。それは、このマイナンバーカードのスマホ申請のやり取りを聞いていた他の友人が私と二人になった時、「僕はあなたと同じ考えです。国をそんなに信じていないのです。」と言うのです。“護らないといけないプライバシーとは何なのか”、あるいは“プライバシーは人権なんだ”という観点から、こうした問題を深読みできない、あるいは、こうした論争に真っ向から挑める人が少ないのですね。“世はデジタル時代”とかいうものの、デジタル時代に見合った市民への人権教育の貧困さ、をつくづく感じました。

朝日新聞4月13日朝刊に、最近の世論調査が掲載されました。ここでは、デジタル庁の創設に期待するかの質問では、期待する44%。期待しない45%、と拮抗しています。それでも、「あなたの税金や健康保険など個人情報が、マイナンバーと一緒に、まとめて国に管理されることに、どの程度、抵抗感がありますか。」の問いには、「大いにある19%、ある程度ある40%、あまりない28%、全くない12%」の回答でした。積極的・消極的を含め抵抗感がある59%は、まだ流れを止められるかもしれない、というほのかな期待を抱かせる数字になっている、と思いました。

デジタル化は一歩誤ると、中国のようなデジタル監視国家、デストピア(暗黒郷)にまっしぐらということになると思います。今回のデジタル改革関連法を、中身をほとんど吟味することなく数日で衆院を通過させてしまう最大野党の存在感のなさには、すっかり絶望させられました。このままでは、わが国は中国以上にデジタル収容所列島に大変身すると思います。

「人権」という西側諸国の価値観をしっかりと共有できない菅首相が率いる政権は、中国、ミャンマーなどの人権状況に対してまったく発言をしないわけです。人権ファーストのアメリカ・バイデン政権と共同歩調をとる資格があるのかどうか、大きな疑問符がついています。菅政権のスタンスをチェンジするには、まず、コロナ禍のどさくさに紛れて有無を言わさずに進める人権レスのデジタル化政策自体を直ちに止めないといけない、と思います。

こうした人権レスのデジタル化の波に果敢に挑むためにも、 PIJのキャッチ、「憲法、人権が護られてはじめてデジタル化はゆるされる」は、とても大事なポイントだと思います。                                    (一読者より)

2021/04/13

菅政権のデジタル改革関連法は、 人権ゼロの「デジタル国家総動員法」だ!

コロナ禍で、多くの生活者や中小企業は「公助」、「共助」ファーストでないと生きられない。この最中に、菅政権が旗揚げした。政策の基本は、「自助」、「行革」、過激な「デジタル化」ファースト。だが、超高齢化するこの国で、過激なデジタル化ファーストは愚策である。今は、行革よりはコロナ終息に向けた出口戦略が必要だろうに。貧困者や高齢者などにやさしい行政が必要だろうに。ところが、これまで温めてきた自己陶酔の政策を吐き出すだけ。この政権、ときの空気を読もうともしない。 菅政権にとり、コロナ禍は、まさに、急進的な市場経済改革、行政改革などショック療法をする好機なのだ。

この政権の背後に、竹中平蔵ら新自由主義者/リバタリアンがうごめいている。「コロナ便乗型新自由主義」「大災害便乗型資本主義 」「火事場泥棒型資本主義」「コロナ・ショック・ドクトリン」を信奉する危ない政権である。 菅政権は、500人を超える定員のデジタル庁を創設を目指し、平井IT担当相のような大手IT企業と深い関係を有する御仁を登用した。IT利権とスクラムを組んでマイナンバー(私の背番号/国民背番号)をエスカレート利用し、デジタル公安調査庁で国民・納税者のネット活動を監視する「デジタル国家主義」を一気に進めようとしている。

政府は、20年12月25日に、IT総合戦略本部(高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部)が作成した「デジタル社会の実現に向けた改革の基本方針」を閣議決定した。この基本方針を読んでも、プライバシーや人権の保護という言葉は一言も出てこない。つまり、菅政権にとり「デジタル・ガバメントはハイテク監視国家」を意味する。菅政権は、“デジタル化推進に国民・納税者の権利が邪魔なら法律で排除すればよい”、の手法だ。権利を潰すために法律を使う。まさに、中国が香港に取る手法と同じだ。マイナンバー(私の背番号)を汎用した人権をむしばむデジタル監視を容認すれば、この国は「デストピア(暗黒郷)」になる。このままでは香港と似た運命をたどる。人権が護られてはじめてデジタル化はゆるされる。中国の習近平政権のようなデジタル国家主義はゆるされない。菅政権の人権をむしばむ政治手法をもっと厳しく批判し、この流れにストップをかけないといけない。

アメリカはコロナワクチン開発に1兆円、わが国はマイナンバーカード普及に8,800億円の財政支出。菅政権は、ムダな公共工事に血税を注ぐのをやめようとしない。日の丸ワクチンをつくろう、検査を徹底しようといった「出口戦略」を描けない、ロジスティクス思考を欠き、「インパール」を繰り返す政権だ。

わが国で医療従事者向けのワクチン接種がはじまったのは2月17日。あれから2か月近くたった。しかし、大半の医療従事者はまだ1回目のワクチンの接種すら受けていない。変異種のリバウンドの大波がせまってきているのに、超遅い!! 批判をかわすために、12日から65歳以上の高齢者への接種がはじまった。しかし、わずかな量の供給しかない。打つ弾がなければ、コロナウイルスワオーズで戦えない。もう、国民騙し、場当たり政治しかできない政権には退場してもらわないといけない。

血税をじゃぶじゃぶ浪費する先のみえない人権をむしばむデジタル国家総動員体制づくりのような、よけいな政策やめさせよう。まず、コロナを収束させないといけない。人権を常時侵害するデジタル国家総動員法案は廃案しかない。デジタルに弱い野党には、もっと勉強して、この法案の廃案につなげて欲しい。この国のあり方を真剣に考えて欲しい。

2020/01/23

政府の生体認証情報のマイナンバー国家管理計画を暴く!

「背番号+顔認証情報」での国民監視が始まる!

全国民の顔認証データのマイナンバー国家管理計画をストップさせよう!

◆「医療/患者」を“人質”にした全国民の生体認証情報の収集・マイナンバー監視

国民のコンセンサスのないまま、国による大規模な生体認証データの取集計画が密かすすんでいる。マイナICカードを使って診療開始時の本人確認と保険資格確認をオンラインでできるようにするとの触れ込みで、1台9万円もする顔認証機能付きICカードリーダー(読取機)を、無償で全国22万ヵ所の医療機関や薬局に導入するという計画だ。その基盤整備を含め、総額で1,000憶円もの血税を浪費する。22年度中には全国のほぼすべての医療機関などで対応できるようにするという。

よ〜く考えてみると、医療機関などでの診療開始時の本人確認と保険資格確認を口実とした「国民の顔認証データのマイナンバー国家管理システム」の“裏口導入”計画ではないか。ほとんどの国民は知らない。医療機関という“信用”“逃げられない場所”をエサに患者(全国民)の“顔/生体認証情報”を釣り上げようとする狡猾な役人の悪巧みが透けて見えてくる。

◆問われる日本医師会の人権感覚!

能天気な日本医師会などは、国の役人の悪巧みを見透かせない。「読取機をタダで設置してくれるならありがたい」という感覚のようだ。 人権感覚が鋭い全国保険医団体連合会(保団連)は、マイナICカードの保険証利用に反対している。保団連には、国民の人権を蝕む、隠された「背番号+顔認証情報で全国民を監視する国家つくり」プランにも、もっと声高に反対して欲しい。

◆うごめくITハイエナ利権

このオンライン顔認証式マイナICカード使用保険資格認証システムは、すでにNECやパナソニックが実用化しているという。こうした政策実施の背後では、患者(全国民)の究極のセンシティブ情報を食い物に儲けようという「ITハイエナ利権」がうごめいていることがわかる。

◆アメリカでは生体認証監視技術に厳しい法規制

対岸のアメリカでは、生体認証監視技術の厳しい法規制に入っている(CNNニュース99号)http://www.pij-web.net/data/CNN-99.pdf。 番号は、漏れて、悪用されても、変更できる。しかし、顔や指紋など生体認証情報は、生涯不変で、漏れて悪用されても、変更できないからだ。また、国民各人の生体認証情報をそれぞれの背番号を使って国家が管理する仕組みは、人権が尊重されるはずの資本主義国家ではゆるされないからだ。

◆全国民の「顔認証データのマイナンバー国家管理計画」をストップさせよう!

国の役人によるこんな人権侵害計画をゆるせば、私たち国民の究極のプライバシーである顔認証データが、オンラインでサーバー(中央センター)に集約・各人のマイナンバー管理されることになる。ひいては、自分の知らないところで、悪用されるかもしれない。私たち国民は、政府の顔認証データのマイナンバー国家管理計画に、声を大にして「ノー」と言わないといけない。 国の役人は、行政の効率化などは二の次で、国民を逐一監視するために、無原則な背番号の利用拡大や背番号カードの取得強要などやりたい放題だ。そして遂に、消費増税で潤った血税をジャブジャブ浪費し、国民の顔認証データのマイナンバー国家管理を打ち出した。国民は、中国のようなデータ監視国家(ビッグブラザー)を望んではいない。マスメディアは中国の実情を憂慮する声を発する。たが大方は、まさに「対岸の火事」の姿勢だ。ITハイエナからの広告収入を優先するからだろう。 顔認証機能付きICカードリーダー(読取機)の全国22万ヵ所の医療機関などへの無償配置計画は、この国の形を大きく変える謀略だ。国民の究極のプライバシー/基本的人権を国家が監視する体制になることだ。「背番号+顔認証情報で全国民を監視する国家」つくりを絶対にゆるしてはならない。

2019/03/19

声明 緊急ストップ!邪悪なデジタルファースト法案

 声明 緊急ストップ!邪悪なデジタルファースト法案

国民全員にIDカード強制の愚策に舵を切った総務省役人

国民全員が身分証(ID)を持ち歩く監視国家はいらない!

「不健康」なマイナンバーカードの健康保険証化、強制交付

カードを持たせるための切れ目のない悪だくみ

スタンドアローンで、マイナポータルの利用拡大にはつながらない

PIJ(プライバシー・インターナショナル・ジャパン)

マイナンバー(私の背番号)ICカードを、2021年3月までに健康保険証にする「不健康」なプランが出てきた。マイナンバーカードを「健康保険証」にすれば、持たないわけにはいかない、逃げられない、と読んでいるわけだ。ところが、突如、総務省の役人は、通知カードを廃止し、直接ICカードを強制交付する邪悪なデジタルファースト法案を出してきた。3月15日には、閣議決定にまで及んだ。市民にはまったくの寝耳に水だ。総務省の役人の狡猾さには驚かされる。

マイナンバーカードには、顔写真や背番号、それにあらゆる基礎的な個人情報が書かれている。このカードはあらゆる犯罪の道具になる。カードの紛失・盗難、悪用、なりすまし犯罪、振り込め詐欺などの多発につながる。それこそ、国民背番号が券面に書かれたICカード携行は「不健康」そのもの。私の背番号を入れ墨して、プライバシーを首から下げて歩け!に等しい。それに、「パスワードを頻繁に変えて個人データの安全を確保する時代に、生涯不変の背番号(12ケタのパスワード)を持ち歩け」というのも解せない。

仮に皆が背番号ICカードを持たせられたとする。だが、パソコン(PC)とICカードリーダーがないと利用できない電子政府構想(マイナポータル)では、利用促進はムリだ。PCは、論文やレポートを書くときは便利。だが、世はICカードリーダーをつなげないスマホやiPadなどモバイル端末全盛の時代である。結局、スタンドアローンの健康保険証、人権侵害のICカードにしかなるまい。

マイナポータルの利用には、マイナンバーICカードを使う。だが、12ケタのマイナンバーを使うわけではない。カードに入っているPKI(公開鍵・電子証明書)を、セキュリテイ対策に使うだけだ。オーストラリアでは、モバイル端末全盛時代に応えて、ICカード(PKC)を使わない電子政府(myGov)、電子申告(myTax)を導入した。利用には、パスワード+3つのQ&Aを使う。国税庁は、この辺はわきまえている。今年1月からマイナンバーカードを使わず、代わりに個別ID番号・パスワードで電子申告できる仕組みに舵を切った。ICカードを必須とするマイナポータルは、明らかに陳腐化、ガラパゴス化している。

不健康な健康保険証カード化やマイナンバーICカードの強制交付は、マイナポータルの利用拡大にはつながらない。このことを、総務省の役人はわかっているはずだ。要するに、国民ID制度の導入。つまり国民全員が背番号と顔写真つきの不健康な健康保険証カード、公認のICカードを持ち歩けということだ。「マイナンバーカードを持たない人は、非国民」とする監視国家の流れを加速したいだけだ。

法案の閣議決定を機に、血税を使い、TVやネットでも「マイナンバーカード=身分証明書を持ち歩く時代」を大々的にPRし出した。

もう1つの動機が不純な総務省のプランがある。マイナンバーカードを使った自治体ポイント制度である。消費税増税で「切れ目のない景気対策をうたうが、内実はカードを持たせるための切れ目のない悪だくみ」。この種の共通ポイントカードは民間にひしめいている。加えて、“体力勝負”とやゆされるスマホを使った民間の決済+ポイント集約の仕組みも続々と誕生。民業圧迫、素人官業の「自治体ポイント」は必ず血税のムダ遣いに終わる。むしろ「危ないマイナンバーカードで集められた自治体ポイントの警察による危ない使われ方」が心配だ。

結局、スタンドアローンの健康保険証、ICカード化に終始するはずだ。世は、スマホ全盛時代だ。ICカードを使う限り、ガラ系のマイナポータルの飛躍的な利用拡大は望めない。 自公長期政権、脆弱な野党の現在、狡猾な総務省の役人には、もう電子政府はどうでもよい。今が「国内パスポート」、「国民全員に身分証(ID)を持ち歩かせる監視国家」実現の最後のチャンスという読みだ。だが、この愚策で、庶民がなりすまし犯罪などで地獄を見るのは必至だ。

国民全員が身分証(ID)を持ち歩く監視国家をつくる邪悪なデジタルファースト法案は、緊急ストップさせないといけない。

2018/11/23

またぞろ、動機が不純なマイナンバーカードを使った消費増税対策、「自治体ポイント」プランは要らない

2019年10月の消費税率10%への引上げを前にして、与党・政府は、2018年11月に、「自治体ポイント」プランを出してきた。自治体ポイントプランは、個人番号(マイナンバー)カードを使って逆進対策?を講じるためとのことだ。クレジットカードなどの民間ポイントをマイナンバーカードに貯められる。カードを店舗の端末にかざせばポイントで支払いもできる。無料で一定額のポイントを加算する仕組みでもある。所得制限は設けない方針だという。加えて、自治体がポイントの形で商品券を発行すれば、紙の商品券より上乗せ額を大きくする案も浮上している。

 一言でいえば、この自治体ポイントプランは、ICカード両面に基本的な個人情報や背番号が記載された危ないマイナンバーカードを常時持ち歩かせようとする悪巧みそのもの。低迷するマイナンバーカードの取得を伸ばそうとするプランだ。 しかし、民間ポイントの集約など民間がやればいいようなことに行政(官)が手出しするプランにはまったく賛成できない。行政(官)には、災害時の緊急対応や高齢者対策、待機児童対策など、もっと他にやるべき業務は山ほどある。

自治体ポイントプランなど、民間でもできるような業務を増やすようなことはやってはいけない。また、民間カード会社のカード決済した消費者への数か月間のポイント還元もわけのわからない政策だ。こんな動機が不純なことばかりやるなら、消費増税10%への引上げは止めた方がよい。

 このマイナンバーカードを使ったポイント制は、以前にどこかで耳にしたプランだと思う人も多いのではないか。2015年9月に、財務省は、2017〔平成29〕年4月1日から消費税率10%への引上げに伴う逆進性解消対策として、「日本型軽減税率制度」構想を公表した(CNNニューズ83号参照)。この構想は、帳簿方式の消費税を維持するために軽減税率は導入しない。その代り、店頭では飲食料品の購入につき10%の消費税を支払い、後に「領収証(レシート)額を基に一定額、あるいは2%相当の消費税額を還付する制度」である。「消費税レシート還付制度」ともいえる仕組みだ。このプランに対しては、ちゃんとした軽減税率を制度化すべきであるとする公明党をはじめ各界からブーイングが鳴り響き、頓挫した。

 マイナンバーカード保有の強制につながる自治体ポイントプランの加え、キャッシュレス社会へ誘導するということでの民間カード決済への期間限定ポイント還元プランなど、動機が不純、しかも、こんな複雑な仕組みで、零細事業者にムダな賦役を課し、投資を強いる政策は要らない。商売よりも、税金処理で頭を悩ますことになる愚策は実施してはならない。

 次号(CNNニューズ96号)では、まさぞろ、与党・政府のマイナンバーカードを使った消費税逆進対策(?)プランのカラクリについて、石村耕治PIJ代表に、辻村祥造PIJ副代表が聞く。                        (CNNニューズ編集局)

2018/09/13

「データローカライゼーション」とは何か

〜個人情報保護を忘れた「官民データ促進基本法」、「個人情報保護法」では、 わが国民のプライバシーは4強・ガーファ/GAFAに食いちぎられる〜

企業収益拡大のために個人データ(個人情報)を利活用したいという企業は世界中にひしめいている。そのなかでも、グローバルIT企業、とりわけ4強・ガーファ/GAFA(グーグル、アマゾン・ドット・コム、フェイスブック、アップル)による利活用がダントツだ。かれらによる世界規模での情報独占が大きな問題になっている。

アップルに次いでアマゾンは、株価時価総額が1兆ドル(100兆円)を超えた。わが国トヨタは20兆円程度で、はるかに及ばない。アマゾンには、わが国の通販業者あるいは出版業界が束になっても、到底太刀打ちできない。

4強・ガーファ/GAFAは、クッキーなどのIT技術を総動員し、検索エンジン、交流サイト(SNS)、Eコマース(電子商取引)などを通じ膨大な個人データ(ビッグデータ)を手にしている。また、4強・ガーファ/GAFAは、ビッグデータを利活用してあげた巨額な収益で、企業買収(M&A)を繰り返し、ますます強大化してきている。

加えて、巨額の収益を、風力や太陽光など再生可能エネルギーや、AI(人工知能)を搭載した自動運転で、化石燃料を使わないEV車(電池自動車)の開発などにつぎ込み、産業構造の構図を4強主導に変えようとしている。

わが国IT企業は、4強ガーファ/GAFAに買収されることがあっても、もはや、まっとうに勝負できないことは明らかである。

いまや自動車は、ML(機械学習)、AI(人工知能)の搭載しデータを解析しながら、しかも化石燃料から電池で走行する製品に変容している。燃費向上よりも、ビッグデータの活用技術の競争の世界に入っている。事実、グーグル配下のウエイモは、自動運転の特許では首位となり、トヨタを超えた。

また、220の国と地域をカバーする無料のグーグルマップ・ナビの登場で、デジタル地図、地図製作を手掛けてカーナビで業績を伸ばしてきたパイオニアは、事業継続が難しくなってきている。(表面的には無料だが、グーグルマップ・ナビの利用者/消費者は、知らぬ間に、走行データなどの個人情報の提供という対価の支払を強いられているのだが・・・。)

EU(欧州連合)は、4強・ガーファ/GAFAに対抗するため、「忘れてもらう権利(削除権)をはじめとした個人データを強力に保護する「一般データ保護指令(GDPR=General Data protection Regulation)」を制定、2019年5月25日に施行した(詳しくは「Q&A :EU一般データ保護指令(GDPR)とは何か」CNNニューズ94号参照)。

EUは、域内のIT企業と4強・ガーファ/GAFAとの力関係に雲泥の差があることを認め、法的な対応を行った。内外の企業にEU市民の個人データの自由な流通を平等に認めると、EU市民の個人データは4強・ガーファ/GAFAに食いちぎられてしまう。そこで、一般データ保護指令(GDPR)の制定により、EU市民の個人データの自由な流通政策を修正した。EU市民に対して個人データに関する強力なプライバシー権を法認する一方で、国境を越えて流通するEU市民の個人データ(越境データ)に規制を加えることにより、4強・ガーファ/GAFAのEU侵攻への防波堤を築く政策を選択した。

一般に、こうした個人データの自由な流通に「壁」を設ける政策は、「データローカライゼーション(data localization )」と呼ばれる。

EUに比べ、わが国はどうであろうか。2016年12月7日に、「官民データ促進基本法」が、参議院本会議で可決・成立した。この法律は、国・自治体・民間企業が一体となって官民データの利活用を促進するための“プログラム法”である。2016年11月25日に、与野党(自民・公明・民進・維新)連盟で、議員立法として、衆議院内閣委員会で、発議・法案化され、わずか10日程度で、十分な審議を経ずに成立した。この法律は、ひとことで言えば、個人データに関するプライバシー権をできるだけ形骸化して、政府や企業などが保有しているビックデータを広く開示し、誰もが活用できるようにしようというものだ。

政府は、これまでIT総合戦略本部を中心にオープンデータ施策などを推進し、国・自治体・民間企業が保有するデータの活用を促してきた。しかし、いまだ新事業の創出や経済成長などの目に見える成果には結びついていない。そこで、この法律で、国民のプライバシー保護を後退させる一方で、国民データの活用推進を優先させる基本方針を明らかにしたわけである。遅々として進まないマイナンバー(個人番号)カードの普及・活用の促進、個人情報の産業利益優先、政府による国民監視を強化するための 法律とみてよい。

その後、政府は、2017年5月に「世界最先端IT(情報技術)国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画」を閣議決定するなど制度整備を進めている。同じ17年5月には、わが国民の個人データを利活用して4強・ガーファ/GAFAが巨額な利益につなげることをゆるすような売国的な改正個人情報保護法が全面施行された。

わが国が、「プライバシー保護と個人データの国際流通についてのガイドラインに関する OECD理事会勧告」(1980年9月)に従い、個人データの自由な流通を、内外の企業に平等に認める政策を維持するのは、OECD加盟国として忠実で、原理的には正しいのかも知れない。しかし、わが国IT企業の力は、4強・ガーファ/GAFAの足元にも及ばない状況にある。市場における力関係に雲泥の差があるのにもかかわらず、それに気づかずに、こんな悪平等で稚拙な愚策を維持していたら、4強・ガーファ/GAFAに利するだけである。わが国民の個人データは、4強・ガーファ/GAFAに食いちぎられてしまう。トヨタもデータエコノミーの激流にのみ込まれ、生存は危うくなるかも知れない。

わが国が“裸の王様”になってしまうようなプライバシーゼロの愚策は早急に変えないといけない。でないと、巨大なジョーズのような4強・ガーファ/GAFAに、わが国民のプライバシーは食いちぎられてしまう。“敵に塩を送る”みたいな愚策をやめることはまったなしである。

EUのDGPRに盛られた個人データの強固な保護、個人データの自由な流通の規制の法制を精査し、わが国個人情報保護法制のデータローカライゼーションを強力に推進する必要がある。           (CNNニューズ編集局)

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