2018/09/13

「データローカライゼーション」とは何か

〜個人情報保護を忘れた「官民データ促進基本法」、「個人情報保護法」では、 わが国民のプライバシーは4強・ガーファ/GAFAに食いちぎられる〜

企業収益拡大のために個人データ(個人情報)を利活用したいという企業は世界中にひしめいている。そのなかでも、グローバルIT企業、とりわけ4強・ガーファ/GAFA(グーグル、アマゾン・ドット・コム、フェイスブック、アップル)による利活用がダントツだ。かれらによる世界規模での情報独占が大きな問題になっている。

アップルに次いでアマゾンは、株価時価総額が1兆ドル(100兆円)を超えた。わが国トヨタは20兆円程度で、はるかに及ばない。アマゾンには、わが国の通販業者あるいは出版業界が束になっても、到底太刀打ちできない。

4強・ガーファ/GAFAは、クッキーなどのIT技術を総動員し、検索エンジン、交流サイト(SNS)、Eコマース(電子商取引)などを通じ膨大な個人データ(ビッグデータ)を手にしている。また、4強・ガーファ/GAFAは、ビッグデータを利活用してあげた巨額な収益で、企業買収(M&A)を繰り返し、ますます強大化してきている。

加えて、巨額の収益を、風力や太陽光など再生可能エネルギーや、AI(人工知能)を搭載した自動運転で、化石燃料を使わないEV車(電池自動車)の開発などにつぎ込み、産業構造の構図を4強主導に変えようとしている。

わが国IT企業は、4強ガーファ/GAFAに買収されることがあっても、もはや、まっとうに勝負できないことは明らかである。

いまや自動車は、ML(機械学習)、AI(人工知能)の搭載しデータを解析しながら、しかも化石燃料から電池で走行する製品に変容している。燃費向上よりも、ビッグデータの活用技術の競争の世界に入っている。事実、グーグル配下のウエイモは、自動運転の特許では首位となり、トヨタを超えた。

また、220の国と地域をカバーする無料のグーグルマップ・ナビの登場で、デジタル地図、地図製作を手掛けてカーナビで業績を伸ばしてきたパイオニアは、事業継続が難しくなってきている。(表面的には無料だが、グーグルマップ・ナビの利用者/消費者は、知らぬ間に、走行データなどの個人情報の提供という対価の支払を強いられているのだが・・・。)

EU(欧州連合)は、4強・ガーファ/GAFAに対抗するため、「忘れてもらう権利(削除権)をはじめとした個人データを強力に保護する「一般データ保護指令(GDPR=General Data protection Regulation)」を制定、2019年5月25日に施行した(詳しくは「Q&A :EU一般データ保護指令(GDPR)とは何か」CNNニューズ94号参照)。

EUは、域内のIT企業と4強・ガーファ/GAFAとの力関係に雲泥の差があることを認め、法的な対応を行った。内外の企業にEU市民の個人データの自由な流通を平等に認めると、EU市民の個人データは4強・ガーファ/GAFAに食いちぎられてしまう。そこで、一般データ保護指令(GDPR)の制定により、EU市民の個人データの自由な流通政策を修正した。EU市民に対して個人データに関する強力なプライバシー権を法認する一方で、国境を越えて流通するEU市民の個人データ(越境データ)に規制を加えることにより、4強・ガーファ/GAFAのEU侵攻への防波堤を築く政策を選択した。

一般に、こうした個人データの自由な流通に「壁」を設ける政策は、「データローカライゼーション(data localization )」と呼ばれる。

EUに比べ、わが国はどうであろうか。2016年12月7日に、「官民データ促進基本法」が、参議院本会議で可決・成立した。この法律は、国・自治体・民間企業が一体となって官民データの利活用を促進するための“プログラム法”である。2016年11月25日に、与野党(自民・公明・民進・維新)連盟で、議員立法として、衆議院内閣委員会で、発議・法案化され、わずか10日程度で、十分な審議を経ずに成立した。この法律は、ひとことで言えば、個人データに関するプライバシー権をできるだけ形骸化して、政府や企業などが保有しているビックデータを広く開示し、誰もが活用できるようにしようというものだ。

政府は、これまでIT総合戦略本部を中心にオープンデータ施策などを推進し、国・自治体・民間企業が保有するデータの活用を促してきた。しかし、いまだ新事業の創出や経済成長などの目に見える成果には結びついていない。そこで、この法律で、国民のプライバシー保護を後退させる一方で、国民データの活用推進を優先させる基本方針を明らかにしたわけである。遅々として進まないマイナンバー(個人番号)カードの普及・活用の促進、個人情報の産業利益優先、政府による国民監視を強化するための 法律とみてよい。

その後、政府は、2017年5月に「世界最先端IT(情報技術)国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画」を閣議決定するなど制度整備を進めている。同じ17年5月には、わが国民の個人データを利活用して4強・ガーファ/GAFAが巨額な利益につなげることをゆるすような売国的な改正個人情報保護法が全面施行された。

わが国が、「プライバシー保護と個人データの国際流通についてのガイドラインに関する OECD理事会勧告」(1980年9月)に従い、個人データの自由な流通を、内外の企業に平等に認める政策を維持するのは、OECD加盟国として忠実で、原理的には正しいのかも知れない。しかし、わが国IT企業の力は、4強・ガーファ/GAFAの足元にも及ばない状況にある。市場における力関係に雲泥の差があるのにもかかわらず、それに気づかずに、こんな悪平等で稚拙な愚策を維持していたら、4強・ガーファ/GAFAに利するだけである。わが国民の個人データは、4強・ガーファ/GAFAに食いちぎられてしまう。トヨタもデータエコノミーの激流にのみ込まれ、生存は危うくなるかも知れない。

わが国が“裸の王様”になってしまうようなプライバシーゼロの愚策は早急に変えないといけない。でないと、巨大なジョーズのような4強・ガーファ/GAFAに、わが国民のプライバシーは食いちぎられてしまう。“敵に塩を送る”みたいな愚策をやめることはまったなしである。

EUのDGPRに盛られた個人データの強固な保護、個人データの自由な流通の規制の法制を精査し、わが国個人情報保護法制のデータローカライゼーションを強力に推進する必要がある。           (CNNニューズ編集局)

2018/09/02

個人情報保護委員会(PPC)へのヒアリング実施

18年8月29日に、市民団体「共通番号いらないネット」の要請に応じ、個人情報保護委員会(PPC)は、総務省、厚労省の担当者とともに、参議院議員会館における約2時間にわたるヒアリングに参加した。、今回のヒアリングの実施にあたっては、参議院共産党田村智子議員に仲介の労をとっていただいた。 司会・質問には、共通番号いらないネットの宮崎・原田両氏があたった。市民側からは、マイナンバー(共通番号)訴訟神奈川の原告側弁護士を含む各界の代表30人程度、PIJからは石村代表が参加した。

ヒアリングでは、おおむね次の4点について、回答、質疑応答がなされた。 ●特別徴収税額通知書の漏えい問題についての対応 ●事業者の取得した個人番号の利用目的変更のQ&Aについて ●情報提供ネットワークシステムの特定個人情報保護評価について ●日本年金機構の不適正な再委託への対応について

4つの質問事項を、もう少し噛み砕いて言うと、?特別徴収税額決定通知書へのマイナンバー記載問題についてどのような対応をしたのか、?事業者に対して他の目的で取得したマイナンバーの使い回しを容認するQ&Aを出しているが、こうしたことを平然と行う委員会(PPC)は、独立した第三者機関といえるのか、?情報提供ネットワークシステム(マイナポータル)の利用開始にともなう特定個人情報の保護について委員会(PCC)が真にその役割を果たしているのか、?日本年金機構が事務を民間会社に下請けに出し、その下請け先が中国の企業に再委託し、その中国企業がずさんな入力作業を行い問題となったが、委員会(PPC)はどのような指導・監督を行ったのか。

今回のヒアリングでは、市民団体と委員会(PPC)や行政側との間で、かなりの意見交換ができたのではないか。

■今回のヒアリングでわかったこと:法改正も視野に入れた運動も必要

今回のヒアリングで浮き彫りになったことがある。それは、一言でいえば、“個人情報保護委員会(PPC)に法令上与えられた職務権限の限界”と、市民側の“委員会(PPC)に対する誤解と期待”が交差していることである。

危ないマイナンバーを導入するということで、「特定個人情報保護委員会」が創設され、後に「個人情報保護委員会(PPC)」に改組された。私たち市民は、個人情報保護法に基づき設置されている個人情報保護委員会(PPC)は、総務省のような行政機関が無茶なことをしたら「ダメ!」とたしなめるのは当然の任務だと思うわけである。言い換えると、個人情報保護委員会(PPC)は、市民の側にたって行動する独立した第三者機関として設置されていると考えているわけである。

ところが、法律(個人情報保護法)を見てもわかるように、委員会(PPC)は最初から国民の側にたって個人情報を「保護」する組織としてつくられていないわけである。

この点は、個人情報保護法をチェックすればわかる。同法は、委員会(PPC)に対して、「個人情報取扱事業者」の個人情報取扱いに関する苦情の申出に対処する権限を与えている(法61条2号)。ところが、、国の行政機関とか自治体などを、個人情報保護法上の「個人情報取扱事業者」から除外しているのである(法2条5項)。つまり、会社や商店、私立学校などの民間機関のみを、「個人取扱事業者」とし、PPCが対処できる対象としているのである。国の行政機関とか自治体などには、PPCはアンタッチャブルなわけである。

このように、委員会(PPC)は、こうした市民団体からの行政による個人情報取扱いに関する苦情の申出を請けること、その申出に従い国の行政機関を助言・指導などはできない法的仕組みになっているわけである。

個人情報保護委員会(PPC)は、実際にやっていることは、危ないマイナンバーの利用促進活動一辺倒なわけである。事実、マイナンバーの危ない拡大利用に歯止めをかける役割などまったく果たしていないわけである。現在のようなスタンスでは、委員会(PPC)は、市民から“個人情報反故委員会”と揶揄されても、仕方がない。委員会(PPC)の現在の姿には大きな疑問符がついて当然である。

しかし、一方で、ヒアリングに出席していた委員会(PPC)職員が吐露したように、 個人情報保護委員会(PPC)は、その事務遂行にあたり、法令上、特定個人情報の有用性を常に織り込むように求められるなどの縛りがあり、正面から国民の個人情報を保護する活動をすることが難しい制度設計になっていることも見逃せない。この点に、私たち市民はもっと注目する必要がある。

つまり、市民団体は、議員の力をかりて委員会(PPC)や総務省などの職員を呼びつけて、彼らに問いただすのもよい。しかし、彼らをいくら攻めたてても、法令が「PPCに“名ばかり第三者委員会”として役割を果たせ!」と命じている以上、PPCも法律を破るわけにはいかずどうにもならない面もあることを理解しないといけない。残念ながら、まさに“悪法も法なり”なわけである。

どうせ国会議員の力をかりるならば、議員立法で悪法改正を目指すことも考えないといけない。そのための市民運動を進めていかないといけないのではないか。でないと、共通番号いらない活動はしぼむ。

個人情報保護法(改正法を含む)は、いわゆる「政府立法(閣法)」でつくられた法律である。つまり、行政府の役人が法案をまとめ内閣が国会に提出し通過した法律である。

行政府の役人は、法律をまとめるときに、自分らを縛る法律はつくりたがらない。彼らに丸投げしたら、行政機関も監督・立入り・指導などができる独立した強固な権限を持った個人情報保護委員会(PPC)などつくるわけがない。

ちなみに、オーストラリア情報コミッショナー事務局(OACI)は、情報公開+プライバシー保護問題を担当する連邦議会直属で、オムニバス方式(公民統合規制方式/公民包括規制方式)を採る独立した第三者機関である。つまり、民間機関のみならず行政機関に対しても規制権限を持っている【「日豪の個人情報保護機関を比較する」CNNニューズ96号参照】。。

わが国の個人情報保護委員会改革には、オーストラリアのOACI、さらには、同じくオムニバス方式を採用するプライバシーコミッショナー事務局(OPC)などが参考になるのではないか。

個人情報保護委員会(PPC)のような機関の権限強化を叫ぶ場合には、注意もいる。この種の委員会(PPC)が、プライバシーを守る、個人情報侵害を摘発するという旗頭のもと、ある種の検閲機関に進化するおそれもないとはいえないからである。“木を見て森を見ない”ようになってはならない。

私たち市民団体には、議員に働きかけ、「議員立法」で“国民が主役”の個人情報改正案(PPC改革案を含む)をまとめる作業を含め、もっと進化した運動が求められている。

そのために、私たち市民は、まず、“政府立法”と“議員立法”の違いから勉強しなければならない!!

次のCNNニューズ95号(18年10月20日発行予定)では、18年8月29日のヒアリングの報告や”政府立法と議員立法とは何か”などについての記事を掲載する。          
  (CNNニューズ編集局)

2017/02/28

画餅したプラン 「官民データ促進基本法」 を読む  

PIJ運営委員会

2017年2月28日

2016年12月7日に、「官民データ促進基本法」が、参議院本会議で可決・成立した。この法律は、国・自治体・民間企業が一体となって官民データの利活用を促進するための“プログラム法”である。

2016年11月25日に、与野党(自民・公明・民進・維新)連盟で、議員立法として、衆議院内閣委員会で、発議・法案化され、わずか10日程度、十分な審議を経ずに成立した。

政府は、これまでIT総合戦略本部を中心にオープンデータ施策などを推進し、国・自治体・民間企業が保有するデータの活用を促してきた。しかし、いまだ新事業の創出や経済成長などの目に見える成果には結びついていない。この背景には、マイナンバー法や改正個人情報保護法、サイバーセキュリティ基本法のように、データを保護する施策を優先せざるを得ないことがあるとの認識を示している。

そこで、今回の法律で、国民のプライバシー保護を後退させて、国民データ活用の推進を優先させる基本方針を明らかにしたものである。

遅々として進まないマイナンバー(個人番号)カードの普及・活用の促進、個人情報の産業利益優先、政府による国民監視を強化するための 法律とみてよい。

個人情報を満載したマイナンバー(個人番号)カードなど、紛失したら危ない。まともな感覚の市民なら、こんなもの持ち歩きたくない。こうした市民感覚に配慮せず、全国民の個人情報を公有化するとともに、民間企業が自由に商業利用できるようにするイケイケドンドンの方針をうたった法律である。

また、この法律では、はじめて「AI(人工知能)」、「IoT(インターネット・オブ・シングス)」、「クラウド・コンピューティング・サービス」を定義した。 さらに、国・自治体のデータの活用促進のため、システムの規格統一や互換性の確保などを謳っている。  

 【この法律の骨子】

(1)この法律の目的(1条)

○インターネットその他の高度情報通信ネットワークを通じて流通する多様かつ大量の国・自治体・民間企業が保有する「官民データ」を適正かつ効果的に活用する。

○このための基本理念を定め、国等の責務を明らかにし、並びに官民データ活用推進基本計画の策定その他施策の基本となる事項を定めること。

○加えて、官民データ活用推進戦略会議を設置することにより、官民データ活用の推進に関する施策を総合的かつ効果的に推進し、もって国民が安全で安心して暮らせる社会及び快適な生活環境の実現に寄与すること。

(2)定義 

○「人工知能関連技術」(2条2項):「人工的な方法による学習、推論、判断等の知的な機能の実現及び人工的な方法により実現した当該機能の活用に関する技術」をいう。

○「IoT(インターネット・オブ・シングス)活用関連技術」(2条3項):「インターネットに多様かつ多数の物が接続されて、それらの物から送信され、又はそれらの物に送信される大量の情報の活用に関する技術であって、当該情報の活用による付加価値の創出によって、事業者の経営の能率及び生産性の向上、新たな事業の創出並びに就業の機会の増大をもたらし、もって国民生活の向上及び国民経済の健全な発展に寄与するもの」をいう。

○「クラウド・コンピューティング・サービス関連技術」(2条4項):「インターネットその他の高度情報通信ネットワークを通じて電子計算機(入出力装置を含む。以下同じ。)を他人の情報処理の用に供するサービスに関する技術」をいう。

      *        *         *

この法律に基づいて今後、政府の高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部(IT総合戦略本部)の下に首相を議長とする「官民データ活用推進戦略会議」(戦略会議)を設置し、基本計画の立案や重要施策の実施推進などに取り組むとしている。同会議はすべての国務大臣、政府CIO、有識者からなる。

戦略会議では、必要に応じて既存の法制度の改正も進めていくとしている。議長である首相には、関係行政機関の長に勧告できる権限も付与した。また、都道府県に対しても「官民データ活用推進基本計画」の策定を義務付けたほか、市町村には努力義務を課した。自治体は施策の策定・実施に関して、官民データ活用推進戦略会議に対して情報提供などの協力を求めることができ、会議はその求めに応じるように努めるとした。

基本的な施策としては、行政手続きなどでのオンライン利用の原則化、国・自治体のデータの容易な利用(オープンデータ化)、マイナンバーカードの普及・活用などのほか、国・自治体のデータの活用を促すために、システムの規格整備や互換性確保、業務の見直しなどの措置を講じるとしている。

しかし、こうした野放図でテンコ盛りの内容の政治主導の政策に、国民のコンセンサスが得られているとは思えない。国民のプライバシーを尊重しない政産官学が鉛筆を舐めなめしてまとめた政策は、まさに「絵に描いた餅」、住基ネットのように、血税の浪費、必ず失敗するのではないか。

2016/05/18

2016年PIJ定時総会のお知らせ

プライバシー・インターナショナル・ジャパン(PIJ)の定時総会を開催します

●日時:2016年5月28日(土)PM : 18:10〜 (受付:PM : 18:00から)

●場所:東京芸術劇場 小会議室3(例年と会場が異なります。)

(なお、我妻PIJ事務局長の主宰する「税理士法人TAC」名で会場掲示をしていますので、ご注意ください。)      住所:東京都豊島区西池袋-1-8-1   Tel 03-5391-2111      東京・池袋駅西口下車徒歩4分以内

(JR山手線・埼京線・東武東上線・西武池袋線・地下鉄 有楽町線・丸の内線)

●議題:事業報告、役員選任報告、新年度事業方針および事業計画

●記念講演:《ムダ遣いの電子政府構想とじわじわ危なくなるマイナンバーを斬る》

オーストラリアの背番号も番号カードも使わない電子政府

〜電子政府構想の日豪比較

講師:石村耕治(PIJ代表・白鷗大学教授)

2016/02/03

最近のマイナンバー(共通番号)関係新聞報道〜個人情報保護委員会はイラネ!

産經新聞2016年1月1日の1面の「マイナンバー」の記事は、最近のマイナンバー(個人番号)報道の圧巻だ。住基カード発行で消えた2000億円超の巨額な血税、天下り組織である「地方公共団体情報システム機構(Jリス)」、住民票コード(11ケタ)、マイナンバー(12ケタ)と次々と産官学で開発される「IT利権」、それに群がる民間ITコンソーシアム(NTT、NEC、富士通など)の利権の掴み取りの構図について詳細に分析、報道している。読んでない方は、近くの図書館へ行って読んでみたらいいのではないか。「先を越された」東京新聞/中日新聞の記者も、“べた誉め”?。良識派知識人の評価の高い報道姿勢を貫いている東京新聞/中日新聞も、時間をかけた、もっと精緻な取材が求められている。

もう一つの記事は、日経2016年1月25日(月)朝刊「論点争点:メディアと人権・法」欄の「マイナンバー利用拡大/個人情報保護委が点検を」も、重い内容だ。税・社会保障・災害対策に絞り、慎重に定着させようとしたはずのマイナンバー制度が、国民的な議論がないまま際限のないエスカレート利用に動き出していることに警鐘を鳴らしている。この背景には、第三者機関であるはずの「個人情報保護委員会(PPC)」が、全く機能していないことがあるのではないか?との指摘が、その骨子。

わが国の個人情報保護委員(PPC)は、オムニバス(官民双方の問題を扱う)機関としてつくられていない。もっぱら民間機関の特定個人情報(マイナンバー付き個人情報)などの問題を扱う機関として組織されている。このことから、捜査機関や課税庁などの公的機関は「公益上の必要性がある」ことを理由とすれば、国民の特定個人情報(マイナンバー付き個人情報)などに無制限にアクセスできる。PPCは、その必要性があったのかどうかを確かめることすらできない。そうした権限はなく、まったくアンタッチャブルな法制になっているからである。立法は全て行政府のお役人任せの議員がウジョうじょの国会、府省のお役人が自分らに都合のいいように法制を小細工、デザインした結果であろう。しかし、こうした制度設計に大きな問題がある。各界から強い批判もある。毎日新聞2016年2月1日(月)朝刊「オピニオン・メディア:自分の個人情報の使われ方は?」では、PPCの「名ばかり第三者機関」の実情、こうした特定個人情報(マイナンバー付き個人情報)の例外的利用規定の濫用に歯止め策を講じる必要性を説いている。

そもそも「マイナンバー」というネーミングの国民総番号制は、民主党が政権を担当していた当時立ち上げた制度である。この連中が下野し、まったく沈黙している現状では、国のお役人はやりたい放題で、国民のプライバシー権、自己情報コントロール権はますます風前の灯火と化してきている。誰も、こんな負の遺産つくりの先兵役を演じた無責任な政党に投票しようとは思わないのではないか。人生80年の時代に、子供のマイナンバーまで勤務先に出させるような危ない番号実務などに親はうんざりしている。ダダ漏れは必至だ。これに「物申す」しない野党などイラネ。

現状の法制を前提とする限りでは、個人情報保護委員(PPC)は、あえて言えば、民間機関のよる国民の特定個人情報(マイナンバー付き個人情報)管理に目を光らせる役割にこそ僅かな存在意義があるはずだ。言い換えると、個人情報保護委員会(PPC)のようなつくりの第三者機関は、国民からの「苦情の申出」を処理するのが、主要な役割の一つのはずだ。市民が「自分の勤務先の会社に自分と扶養家族の特定個人情報(マイナンバー付き個人情報)を提出したが、総務課の机の上の無造作に放置されている」等々の苦情に申出に警告を発したりするのが、重要な役割といえる。

ところが現実はどうか?PPCは、電話で相談に乗るとのことで「窓口」は設けている(電話03−6441−3452)。しかし、苦情処理手続などはまったく不透明である。電話で相談に乗るのはいいが、その処理手続が明確にされていないと、害者とされた民間機関に「反論の機会」など適正手続が保障されないことになりかねない。諸外国の個人情報保護委員会の例などを参考にして苦情処理手続を明定し、速やかに公表すべきだ。また、年次報告書を作成し、その活動内容を国会に提出するなどして、外部審査を受けなければいけない。

この委員会の活動の現状をみると、「特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン(事業者編)」の発行とか、内閣府や総務省、財務省などの配下で、マイナンバー推進翼賛機関のような活動しかしていない。まさに「名ばかり第三者機関」で、血税のムダ遣いそのものである。

私たち市民や市民団体は、マイナンバー(私の背番号)も要らないが、「個人情報保護委員会」の活動を“監視”し、どしどしクレームをいう必要がある。まさに、今のような状況では「こんな第三者機関などイラネ」である。                          
PIJ 特定個人情報監視委員会

2015/07/31

8.6 税理士による河村たかし後援会「共通番号対策」講演会  

    共通番号実施でどうなる企業業務や税理士業務

     〜事業者に重荷、ダダ漏れ必至のマイナンバー制を問う

               講師 石村耕治

              (白鷗大学教授、名古屋市経営アドバイザー)

            2015年8月6日 (木)

            名古屋ガーデンパレス PM:6:00〜

            名古屋市営地下鉄 栄駅下車徒歩5分

            名古屋税理士会認定研修、参加費無料

基礎年金番号で管理された年金情報125万件の大量流出事件で、私たちは、国民情報を束ねて管理する政府機関のデータ安全管理の危うさを目の当たりにした。

共通番号(マイナンバー)は、さらに危険である。民間企業や民間機関も取り扱うことになることからだ。

10月の番号導入後、サラリーマンやOLは、勤め先に提出する税務上の扶養控除等申告書(マル扶)などの書類には、自分だけではなく扶養家族全員のマイナンバーを記載するように求められる。パートやバイトの人も、勤め先に自分のマイナンバーを伝えないといけない。

これは、見方をかえると、マイナンバーを記した税や社会保障関係書類の提出で、1億2千600万人超+居住外国人など、ほぼ国民全員のマイナンバーが民間企業へ垂れ流しになることを意味する。当然、提出を受けた企業のマイナンバー情報の安全管理体制が問われてくる。

だが、従業員や消費者などからマイナンバーの告知を受ける全国386万を超える民間企業の97%は中小事業者である。政府が笛吹けども、企業の安全管理体制の整備は遅々として進んでいない。

IT企業各社は、「今が商機」とばかり、市場規模2~3兆円ともいわれる高価なマイナンバー対応ソフトの売込みに必死である。だた、そんな本業以外に使うソフトなど買う余裕などない企業が大半を占める。各種調査によると、80%以上の民間企業は、マイナンバー安全対策にテマ/ヒマやカネをかける余裕がなく、まったく無防備の状態だと報じられている。

男女とも人生80年超の時代である。パスワードを頻繁に変える時代に同じ番号(パスワード)を一生涯官民で使いまわすマイナンバーの導入は明らかに愚策である。こうした愚策の強行を支える民間企業、税務や社会保障関係の専門職の重荷、負担は、想像を超える。

番号出さない人に給料等を支払わなくとも労働法上ゆるされるのか?マイナンバー情報の管理義務に違反したらどうなるのか?管理義務違反を摘発する体制はあるのか?番号の違法な告知/提示を求めてしまったらどうするのか?個人番号カードは必ずとらないといけないのか?紛失したらどうなるのか?個人事業者は支払調書などに自分のマイナンバーを書いて相手方に交付するって危ないと思うけども本当なのか・・・等々、事業者や税理士などの悩みは底なしである。

今回は、「共通番号実施でどうなる企業業務や税理士業務」の演題で、事業者や税理士などに重荷、ダダ漏れ必至のマイナンバー制について、この問題のエクスパートに、お話いただく。

2015/06/27

7・3特別講演会:ダダ漏れ必至の危ないマイナンバーを問う

JTI 国民税制研究所主催:7・3特別講演会

      共通番号実施でどうなる企業業務や税理士業務
        〜ダダ漏れ必至の危ないマイナンバーを問う

            石村耕治 (白鷗大学教授)

●日時: 2015年7月3日(金)午後6:00〜8:30

●場所: 東京税理士会豊島支部会議室(受付5:30〜)

〒171-0021 東京都豊島区西池袋3-30-3 西池本田ビル3階  《JR池袋駅西口徒歩7分程度》 TEL: 03-3981-4585

●資料代:PIJ/JTI会員 1,000円、非会員2,000円 (どなたでも自由に参加できます)   ●予約先: JTI事務局 info@jti-web.net 用件名:「共通番号講演予約」   *当日配付できる解説資料は数に限りがあります。資料の確実な入手を希望す る方は、予約をおすすめします。   

【レクチャー骨子】

・国民のプライバシーのトータルな公有化/国家管理をめざす国民総背番号制である共
通番号制は、どんな仕組みなのか?

・通知カードとは?IC仕様の個人番号カードの危険な使われ方

・ 国家の国民総背番号管理政策の総動員される386万の事業者や専門職の重荷の現   実とは〜IT業界が2〜3兆円の「マイナンバー特需」とは、“外部不経済”そのもの

・中小企業や個人事業者に重荷、年末調整を廃止し全員確定申告、事業者番号(雇用   主番号)の新設などを提言する〜事業者(雇用先)に必要以上に家族の個人番号を保 有・蓄積  させない政策の必要性

・高税率での天引徴収、個人番号の不提示を認める税制の必要性

・個人番号(マイナンバー)は、「ダダ漏れ必至」、やがては「なりすまし犯罪ツールにな る」といわれるのはなぜか?解決策は?

・「国民のための税理士」をPRする税理士会は、共通番号を黙認し、税務署のお手伝い さんに徹することでよいのか?

・安心/安全を「システム」ではなく、「厳罰」や「第三者機関による監視」で確保しようとす る愚策。賢人の防備策を考える。

今回の講演では、事業者の共通番号取扱実務を中心に、できるだけ分かりやすく解説します。 PIJ会員、JTI会員、非会員を問わず、市民や専門職、どなたでも参加できます。      
●東京税理士会豊島支部アクセス地図  【Gooタウンページも参考にできます。】西池袋3-30-3 西池本田ビル3階 http://townpage.goo.ne.jp/scroll.php?matomeid=KN1300060500653967

  ◆国民税制研究所 ホームページ  http://jti-web.net/ 

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